クジラと癌(がん)の不思議な関係性
悲しいことに日本人と関わりが多い癌(がん)。
全国健康保険協会によると
「日本では2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡する」
といわれています。
癌というのは簡単に言えば細胞がバグによって突然変異し、体(自分)の意思を無視して勝手に動き始める病気です。健康な細胞であれば体全体のためを思って一生懸命働いてくれますが、恐ろしいことに癌化した細胞は自分の成長のために行動し始め、周りの細胞をどんどん取り込んでいくという、まるでSFのエイリアン映画のようなことを始めてしまいます。基本的には絶対的な予防法は今のところ存在せず、治療による完治も約束されたものではありません。
なぜ特効薬が生まれないのかについては様々な見解がありますが、一つの大きな理由としては癌が人間や部位によって個体差が大きくあり、千差万別であるという理由があります。
一口に癌といっても肺がん、舌がん、白血病など多種多様な部位で生まれ、悪性や良性など個体によっても違いがあります。そのため、かかった場合でも人によってそれぞれ適した治療法があるのですべてをカバーした特効薬の作成はかなり難しいといえます。
既に癌の治療薬は完成しているが、世界のバランスが崩壊してしまうことが予想されるため一般の市場では出回っていない、というような都市伝説もまことしやかにささやかれていますが、その確率はかなり低いと言って差し支えないでしょう(笑)。
クジラと癌の不思議な関係の話
癌というものは生物である以上背負うことになるリスク。
それは人間でもネズミでもゾウでも同じです。
しかし、もし癌そのものが各細胞に絶対的に一定の確率で発症しうるバグであると仮定すると、「体が大きい(細胞数が多い)ほうが発症する確率があがるのではないか?」と仮定することができます。世界中の研究者がそう思いながら様々な動物とガンの関係性について調べました。
しかし驚くべきことに、生物によって大きな癌の発症率の違いは見受けらないという研究結果が出ました。
細胞数の多いクジラと細胞数の少ないネズミでも癌を発症する確率は同じである。
この一見すると矛盾している現象のことを
ピートのパラドックスと言います。
このようなニッチな豆知識から人類はまだまだ生物学について学ぶことが多いことがわかります。
もしかするとこのクジラのパラドックスを解明することが人間の癌の治療に役立つ日が来るかもしれませんね。